お使いの記録
家に金がないらしい。
母が死に物狂いで売れるものを探してきた。
使わなくなったカメラ、美術展の目録、レコード……。
どうにかして金を作らねばならない。
折角なので私のアニメグッズも持って家を出た。
まずは近所のカメラ買取店。
電池部分の液漏れ、レンズの傷などを鑑みて、合計200円。
次に神保町まで足を運んで古書買取店。
めちゃくちゃ重かったが、希少価値はないらしく400円。
これはやばい。家にどう報告すればいいのか。
思案しながらアキバまで歩いて、グッズ買取店。
ここは以前勤めていた馴染みの店である。
旬ジャンルを持ってきたとはいえ、細々したものが多かったため、そんなに期待していなかった。
7500円。
特に高かったのが、文学館のコラボ来場者特典バッジ。何と2000円。
まじか。
手持ちは足りていたため、少しでも家の足しになるよう、全部母に渡した。
母は「家が綺麗になったからいい」と拒んだが、無理矢理渡した。
親孝行する気はない。三食用意してくれないと私が困るだけだ。
世知辛い。