突然のイケボ

齢三十一にして四十肩になった。

多分運動不足解消にやったイベント設営のバイトで痛めたのだ。
肩から腕にかけて痺れるように痛い。

この状態で、来月から仕事をするのは無理だ。
そうそう、無事正社員の仕事が決まったのである。

ともかく四十肩だ。
手近な整体に行くことにした。

正直当たり外れは大きいが、ネット予約ができるところにしている。コミュ障なので。
今回は

「めっちゃ効く! 中国式整体!」

みたいなことが書いてあるところにした。
何となく日本人より上手そうなので。


当たりか外れかでいうと微妙なところである。
入る前からおんぼろな店舗が丸見えで、中国人夫婦(?)が切り盛りしている場所だった。

既に地域の妙齢のご婦人が施術を受けており、おしゃべりな女性と仲良く話しながら、まったりした時間が流れていた。

これがまたよく喋る。
買い物のことや、うん、主に買い物のことだな、ユニクロは金曜の安いときに買うに限ると言っていた。

私は男性から施術を受けたのだが、彼はそんなに喋る方ではなく、時折「大丈夫ですか」と訊いてくるくらい。

>だがイケボなのである<

時々女性とも現地の言葉で喋るのだが、

>イケボなのである<

言うなれば舌触りの良いモンブラン。適度に低く落ち着いていて、恐らく中国語なのに(偏見だが)キンキンしない。

私は四十肩の痺れに堪えながらイケボを約60分浴びていた。


「一回じゃ治らないヨ。最低二回から」
残念ながら未だ四十肩は治らないが、また行ってもいいかもしれない。
少なくとも癒し効果は絶大な整体だった。

泣いちゃってるんだよ -バンナムフェス2日目

バンナムフェス2日目。


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この日はアイドル祭り。

女の子のアイドルたちが、作品の垣根を越えて集結した。

アイカツラブライブ、そしてアイマス

そしてこの日は、シャニマスフルメンバーが揃う日でもあった。

 

芹沢あさひちゃんがかわいい - さもなくば高等遊民になりたい

 

私は芹沢あさひが好きだ。

ひとめぼれといってもいい。

私をシャニに引き戻した張本人。シャニの中では新参の、ストレイライトに所属しているひとりだ。

 

他の曲はほぼ初めて聴いた。どれもキラキラして、魅力が詰まった曲だった。アイドルっていいな、と改めて思った。

だが、ストレイライトのWandering Dream Chaserだけは当日の朝にめっちゃ予習した。

本当に、本当に楽しみだったのだ。

 

疲労が溜まってきた終盤、その時は来た。

レーザーが飛び交う。蛍光色を纏った三人が出てくる。

……生のストレイライトは、迫力が段違いだった。

想像より楽しそうに歌う冬優子。やはり格好いい愛依ちゃん。

そして、はっきりとした歌声で、真剣な表情で踊るあさひ。

 

私は、泣いてしまった。

 

泣き曲ではない。それならばアイカツの方がよっぽど泣かせに来ていた。

未だ浅い、あさひとのアイドルプロデュースの日々が、屈託なく笑う顔が、真剣にレッスンにのめり込む姿が、フラッシュバックしたのだ。

あさひ担当の田中有紀さんが見事に演じてくれた。ありがとう。ありがとうしか言えない。

アイマス系列全体に言えることだが、ひとりのアイドルを担当した方は自分の半身のようにアイドルを扱ってくれる。

そこには確かに、ダンスが大好きでアイドルを目指しているあさひがいた。

 

これからは生半可な気持ちであさひに向き合ってはいけない。

私も全力で、あさひをプロデュースしよう。

いつか、てっぺんで笑顔を見せてくれる日まで。

315の景色 -バンナムフェス1日目

バンナムフェス1日目。


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いきなりのSideMそしてトリのSideM。

友人と「出世したなあ」としみじみ言い合っていた。

初めてのドーム公演でも堂々と披露するさまは誇らしい気持ちだった。

 

この日はバンドの参加が多かったので、参加者ごとに時間が区切られていた。

初めて聴くバンドも熱かったり美しかったり、昔を懐かしんだり。

これまでお世話になっているし、テイルズオブシリーズをやってみたくなった。

 

特に耳に残っているのはU149のドレミファクトリー!

遊ぼう!遊ぼう!

薫ちゃんの中の人がまんま薫ちゃんで愛しかった。

Crazy Crazyは現場で初めて聴いたが、それはもうメロウで美しかった。

 

ミリオンだけは予習不足でノリきれなかった。悔やまれる。

 

フェスなので、知らない世界にたくさん触れられた1日だった。

また新たな沼が発生するかもしれない。

 

最後に、古畑恵介さんの話をしよう。

SideMのターンではほぼ定点カメラだったのだが、志狼くんらしく飛んだり跳ねたり、誰よりもカメラやドーム内のファンをみて、マイクでコールを促してくれた。

新しいPRIDE STARの衣装ではベレー帽がついて、それはそれは可愛らしかった。

バイレでは大人の色気でくらくらしたし、ふーくんのファンでよかったなとしみじみ思う。

プレボがないのにうっかりファンレターを書いてきてしまったのはご愛嬌。

 

男子が喜ぶFRAME、神速、皆で楽しめるS.E.M、そして天海春香の因縁のライバルであるJupiter。

そのそれぞれを披露できたのは、本当によかったと思っている。

これからも315プロをプロデュースしたい、そんな気持ちになった1日だった。

Let's go to bnnmfes!

バンダイナムコエンターテインメントフェスティバルが、今週末2日間開催される。


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これはほぼ公式グッズ。

愉快なのはヘッドがデカすぎるペンライト。

 

東京ドームでの開催なので、割と近い民の私はとてもウキウキなのである。

装備も軽くて助かるし!

フェスなので他の色々なアーティストも見られるし!

でも多いのはアイマス系列だし!

 

先日の台風で娯楽(SPARK ※即売会)を根こそぎ奪われた身としては、久々の外。

いや出かけてない訳じゃないけど。

就活してるけど……。

 

楽しんできます!!!!

お使いの記録

家に金がないらしい。

母が死に物狂いで売れるものを探してきた。

使わなくなったカメラ、美術展の目録、レコード……。

どうにかして金を作らねばならない。

折角なので私のアニメグッズも持って家を出た。

 

まずは近所のカメラ買取店。

電池部分の液漏れ、レンズの傷などを鑑みて、合計200円。

 

次に神保町まで足を運んで古書買取店。

めちゃくちゃ重かったが、希少価値はないらしく400円。

 

これはやばい。家にどう報告すればいいのか。

 

思案しながらアキバまで歩いて、グッズ買取店。

ここは以前勤めていた馴染みの店である。

旬ジャンルを持ってきたとはいえ、細々したものが多かったため、そんなに期待していなかった。

 

7500円。

 

特に高かったのが、文学館のコラボ来場者特典バッジ。何と2000円。

まじか。

 

手持ちは足りていたため、少しでも家の足しになるよう、全部母に渡した。

母は「家が綺麗になったからいい」と拒んだが、無理矢理渡した。

親孝行する気はない。三食用意してくれないと私が困るだけだ。

 

世知辛い。

なんかやべぇやつ -ID:INVADED最速試写会

2020年公開のid:INVADEDというアニメの最速試写会に当たったので行ってきた。


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ジャンルはSFミステリ。

監督はFate/Zeroでお馴染みあおきえい氏。

脚本は小説家の舞城王太郎氏が手がけている。

鋭意制作中で、現在後半部分を制作しているそう。

 

なんかもう、凄かった。

ネタバレを回避して言うと、超世界と現実が入り交じって殺人犯を追うミステリ。

イミフですわ、と切り捨てるのは容易い。

が、舞城ファンとしては、あの不可解な世界をアニメ化したか! と喜びと驚きしかない。

監督も、コミカライズ担当・キャラデザインの小玉有起氏も、「面白い! けどこれ描くの?」と困惑したらしい。だが実現している。

 

個人的には、現実の犯人の居場所がやはりお馴染み調布でにっこりした。

舞城といえば調布か、福井の西暁町。

一般観覧席が非常に狭かったので、当たったのは実に幸運としか言いようがない。

 

予言しよう。

id:INVADEDは、2020年の覇権アニメになる。

私が飢えていたのは、生死が混在するアニメ、それも善悪すら混沌としているアニメだ。

主人公の名探偵は、まだ善なるヒトとは限らない。

ほのぼのはいらない、異世界転生系もいらない、こういう新しい基軸のストーリーが見たかったのだ。

id:INVADEDは確実に、「読ませる」アニメになる。

今後の楽しみが増えた。

なんでこんなに青いんだよ ― #舞台013 鑑賞レポート

バツン。明かりがついた途端に消える。

ノイズがかった男の声。痛切に、思いを鳴り響かせる。

「神様、いるんだろ? だったらどうか、一度だけでいい、あいつの願いを聞いてやってくれないか――」

 

LIVEDOG主催、舞台013

9/27 ソワレを観てきました。

男だけの群像劇、いたく感動する少年漫画を読んだ後のような最後に、とても感動しました。

以下、全部ネタバレです。

 

舞台は少年更生施設、リフォームスクール。

そこに入所した13番は全てに希望を抱かず、馴れ合わず、生きているだけ無駄だとばかりに過ごしていた。

ある日、101番、カインが入所してくる。13番は世話係に任命されて、かなり面倒くさがる。

カインは知的障害があり、記憶に難があるため常にメモを取っていた。年齢より精神が幼く、静かにしてもいられない。

けれど、同室301の仲間、スニークとモズ、隣室の302の仲間たちとも次第に打ち解け、13番の心も変わっていく。

 

301号室、厭世的な13番、明るいカイン、おかまジョークの強いスニーク、腕っ節の強いモズ。

302号室、モズのライバルサンガ、サンガの親友で足の悪いギリー、やけに頭の良いセタ、心優しい力持ちレトル。

所長ユミルは胡散臭い「愛」のもと、部屋に鍵をかけず教官ふたりに任せきりだ。

カインの障害に思うところのあるカク教官、それでも厳しく接するブランチ教官。

モズとサンガが争ったり、カインとスニークが騒いだり、スクールはそれなりの平穏を保っているかのように見えた。

 

カインにはアマネという信頼出来る兄がおり、よく面会に来てくれた。

アマネは結婚を控えており、カインの存在に悩みながらも優しく接していた。

カインが初めての面会で「やだ! 一緒に帰る!」と泣きわめくほど。

一方、サンガは子どもが産まれ、モズの父は重病との電話が入った。

ふたりは早く出所するため、一時休戦の約束をする。

その様子を、ギリーはもやもやした心を持ちながら見ていた……。

 

あるとき、アリシア学園社会奉仕部の学生たちがスクールにやってくる。

名目はスクールの男たちに勉強を教えるボランティアだったが、実際は金持ちの子どもたちの点数稼ぎ。

何度も馬鹿にされ、貶されるうちに、スクール内は大乱闘に。

刃物を持ち出した生徒にレトルが混乱して、モズ、サンガと共に懲罰房行きへ。

ただ、生徒のひとり、カートだけは13番を気にかけていて……というのも、同じ孤児院の出だったのだ。

懐かしがるカートに、そっけない13番。

話はここで終わりとばかりに、追い払ってしまう。

 

サンガとレトルの抜けた302号室では、不穏な会話が繰り広げられていた。

ギリーの心の揺れに気づいていたセタが、

「僕がモズを殺してあげる」

と悪魔の囁きをする。

そして、懲罰房から出てきた隙を狙って、ペンでグサリ!

「ごめんギリー! 外してしまった!」

ふたりの友情に亀裂を入れるセタ。

サンガはギリーに失望し、その場を去ってしまう。

「あんなやり方望んでない!」

怒るギリーに、セタは慈悲もなくペンを足に突き刺す。

そこにユミルがやってきて――。

 

実はユミルは変態野郎だった。

深夜にスニークを呼んでは甘言に乗せて情事を迫る日々。

「アタシは、アタシらしく生きたいだけなのにね」

半ば諦めていたスニーク。やがて――事件は起こる。

 

面会から帰ってきたカインの様子がおかしい。

301号室のことをすっぱり忘れてしまっているのだ。

彼はストレスが溜まると障害の度合いが上がり、健忘が酷くなる。

実は、面会のとき、アマネがとうとうキレてしまったのだった。

「おまえがいるから結婚が破談になったんだ! 障害持ちと一生付き合うのは無理だってさ!」

アマネの精神もギリギリだったのだ。

憔悴したカインは、メモ帳にこう書き記していた。

 

「かみさま、いちどだけのおねがいです。ぼくをころしてください」

 

13番は立ち上がる。所内の見学に来ていたカートを人質に取り、屋上の鍵を強請る。

立ち上がる301号室の仲間たち。

スニークはユミルのところへ行き、ギリーをうっかり殺して錯乱していたのを逆手にとり鍵を強奪。

モズは教官を押しのけ、13番の道を切り開く。

そうして辿り着いた屋上は、澄み渡る青空。

 

「かみさまはね、空の高い高いところにいるんだよ」

 

かつてカインがそう言っていた。

13番――エンジェという名の男は、勉強の時間にカインが必死で書いた願い事を掲げ、叫ぶ。

 

「神様! いるんだろう!? 一度だけでいいから、他のことは自分でどうにかするから! どうかあいつの頼みを聞いてくれないか! 『アマネとずっと仲良く暮らしたい』って、あいつの願いをさあ!」

 

面会室。きてくれた神父にセタは言う。

「友情ってあんな脆いんだね。期待して損した。そうそう、この間屋上まで行った馬鹿がいてさあ! 神様に願い事したんだって! 神様なんて、この世にいないのに! いたらとっくに僕を処断しているはずでしょう! 笑えるよねアハハハハハ!」

神父は言った。

「人の思いを馬鹿にするおまえに、彼を笑う資格はない」

暴走して連行されたセタの行方は、杳としれない。

 

エンジェが出所した。

教官は最後に、病院の住所を渡す。

「おまえのこと、覚えているといいな」

旅立つ日も、雲ひとつない青空だった――。

 

あれで泣かない人間はいない。

個性豊かな入所者たちは感情移入がしやすい。カインの存在に少しずつ心を開いていくエンジェは、見ていて微笑ましかった。

モズとサンガの男の友情も熱かったし、スニークの物言いには含蓄があった。

 

と、ここで私情を挟む。

私は古畑恵介を観にいったと言ったな。

彼は父親殺しのサイコパス、セタ役だったのだ。

最初は物静かで知的な役柄かと思いきや、後半に向かってのコロコロ変わる狂気の演技!

正直怖かった。夢に出る。

 

全体的に男だからこそ成り立つ渾身の舞台だったので、今日千穐楽を迎える女の子たちの舞台も気になっていた。

……資金に余裕があれば行ったのだが。

そちらは人数が増え、303号室まであるらしい。

やっぱDVDか、少なくともパンフ買っておけば良かったな……。

 

観る価値の高い素晴らしい舞台だった。

明後日千穐楽まで、無事に駆け抜けてほしい。