もしも心が読めたなら~SEVENTH HEAVEN⇔CLOUD NINE

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フォロワーさんの誘いで、丸福ボンバーズの公演、SEVENTH HEAVEN⇔CLOUD NINEを観賞してきた。

 

久しぶりの観劇である。数年前、魔王JRの2.5次元舞台を観た以来。しかも今回はストレートの芝居だ。

おめかしして出かけよう! ルンルン!

と思っていたところ、風邪をひいてしまい、さっきまでダウンしていた。マスクがお洒落を台無しにする。

 

千歳船橋の駅近に小屋を構えた丸福ボンバーズは、2012年に立ち上げ、「敷居は低いけど質の高いエンターテイメント」を表題に活動している劇団である。通称丸ボン。

小屋の1階は小規模なカフェになっており、カレーやスイーツなどが堪能出来る。

2階に上がると約40人が座って観られる程度の舞台になっており、この日は最低限の骨組みと箱馬が並べてあるシンプルな舞台構造だった。

 

公演前、わくわくしながら待っていると、やたら声の良い前口上が。

何故ってそりゃあ、現役の声優さんだからである。神尾晋一郎さんが所属している劇団なのだ。

彼は日替わりキャストとして、ちょっと面白い役を演じていた。

 

さて、舞台が始まった。

物語の舞台は、タレントアニマルの事務所。

先代がたてた建物は広い庭や温室を擁しており、動物たちにとって住み心地が良さそうだ。(ここで骨組みの意味が分かる。温室の梁なのだ)

現在住んでいるのはゾウガメ、レトリーバー、ポメラニアンセキセイインコ。二代目園長と飼育員のふたりで賄っている。

この事務所は、現在猫を取り扱わないとのことだが……?

 

物語は動物パート、人間パートに分かれている。人間が話している間は、動物たち(のキャスト)は鳴き声を模した楽器で主張する。動物パートでは、人間の世間話のように会話をする。

素晴らしいのが、それぞれの動物の特徴を掴んだ動きで、自然と舞台が成り立っていることだ。

インコは箱馬を転々と飛び回り、早口で捲し立てる。

ゾウガメは歩くのがとてもゆっくりで、ちょっとの距離で息を切らす。

ポメは発話者の人間の方を必ず見上げる。

レトリーバーは老犬なので、眠気に忠実だ。

きっと動物の習性をよく勉強されたのだろう、役者さんの腕が光っていた。

 

もちろん人間も負けていない。

認知症の始まった初代を、必死に叱りつける娘の迫力は真に迫っていた。

彼女を支える飼育員は、集中すると動物のことばが分かるという特殊能力があった。

ちょっと不思議な物語の中で、鍵となったのは、初代がかつて作った絵本と、娘が大好きだった三毛猫。

瓜二つな三毛が園にふらりと立ち寄ったことから、物語は進んでいく。

 

約二時間、一分の隙もない楽しい、感動する時間だった。

まだ当日券もあるそうだから、ぜひ観に行ってほしい。

とりあえずDVDは買うことに決めた。

 

終演後、役者さんたちとお話する機会に恵まれた。

曰く、「楽屋は親戚のお盆みたい」だそうな。

皆さん仲良しで、しかし稽古はガッツリ厳しいのだろう(プロこそそういうものを見せない)。

気づけば役者さんに混ざって「ありがとうございました!(腹式呼吸)」していたのは私だ。本当に失礼極まりない。

演劇っていいな。自分はできないけど。

 

丸福ボンバーズ。次の公演もぜひ足を運びたいと思った。