ここまでのダイジェスト
個人的な話になるが、そろそろ聞いてほしい。
重いと思ったら即撤退するように。
土曜日、父が倒れた。
末端の血管に栓ができ、腎臓も悪いそうだ。
半身麻痺の状態が表れた瞬間に母が119番をして、現在は隣町の病院に入院している。
一方の私は実家暮らしで実質ニート生活をしている。
正直母にストレスが少なく病院通いさせてあげたい。
ので、現在家事手伝いにジョブチェンジをして日夜母を支えている。
妹も実家暮らしだが、私と違いちゃんと仕事に行っている偉い子なので、そのままの生活をさせてあげたいと思っている。
問題は要介護の祖父である。
少年時代から半身麻痺があり、更に前立腺癌を患ってから、自力では部屋とトイレの往復でやっとの状態だ。
その祖父が、数日前から体調を崩し、トイレさえも介助なしで行けない状態になった。
本当なら私が介助も担ってあげたいところだが、生憎の非力である。
自慢じゃないが、最近やった軽作業、コンベアの荷物をピッキングすることさえ、荷物に引っ張られて十分にできたとは言えない。
自分がムキムキマッチョマンだったら良かったのに。
そこで伯母夫婦が登場する。
先日伯母も会社を定年退職したそうで、ここ数日来てくれている。
昨日祖父は、伯父に引っ張られて何とか用を足していた。
だがしかし。
伯父は母曰く、「自分の親すら介護したことがない」らしい。
不安が残るなあ……と思っていたのが先程のこと。
なんと伯父、祖父が寝ているのをいいことに従姉妹のところへ帰った。
さっきから眉間の皺がとれない。
一応母には連絡したから、早めに帰ってくるとは思う。
思うが、母にばかりそんなに心労をかけていいものだろうか。
「入院させるのには慣れている」と母が言った。実際、母の両親は病気で他界しており、私の祖母(父の母)も病気で他界した。
それでも、誰か(妹を除く)が働きに出るとバランスの崩れる我が家。実際入院前から火の車だった家計。慣れない通院生活に、弱気の父の世迷言を毎日聞かされる労力。
このままだと母まで倒れる。
先日、母と録画した映画を見ていた。
映画の中では母が脳腫瘍で倒れ、余命一週間と宣告され、だというのに父母には多額の借金があり、元引きこもりの兄と実家暮らしの弟が奔走するという内容だった。
「まるで地獄だな」私は言った。
「うちも大して変わらないよ」母は言った。
……今はどうだろう。これは、地獄ではないのか?
涙が出てきた。
話を終えることにする。